【このリリースがすごい!】LAMB’S END『SENTIMENT』| 全6曲に刻まれた、軋み続けるいまと本当の傷

コラム・特集
2026.6.19
【このリリースがすごい!】LAMB’S END『SENTIMENT』| 全6曲に刻まれた、軋み続けるいまと本当の傷のサムネイル画像

音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、LAMB’S ENDのミニアルバム『SENTIMENT』を紹介。


傷を見せ合うことでしか繋がれない関係があるのだとすれば、僕がどうしようもなくなってしまったことにだって意味があるのだろう。LAMB’S ENDが切創を雨風に曝すようにしてまで痛ましい歌を紡ぐのは、そしてそれをあなたに届けようとするのは、犯してきた間違いを間違いでなかったと思い込むための、切実でやっぱり痛々しい自己肯定のプロセスなのだと思う。

一度、彼らのライブを観たことがある。笹塚ボウルというボウリング場の一角で、長年にわたって堆積されてきた享楽的なムードがあっという間にぶち壊されてしまうような、30分間のステージ。ひたすらに鬱屈としていて、渦巻くエネルギーも内向きだった。だから、本作で口火を切る「NEVER ENOUGH」にて、炸裂するエモバイオレンス〜Skramzな発散にやや驚いて、一皮剥けた逞しいバンドになったのかと感心した。だけどそのあとすぐに、ため息を誤魔化すようにタバコの煙を吐いて、独白が始まる。

暴れて叫んでみても自分の身体の頼りなさがわかるだけで何にも勝てやしないことを、この4人は隠さない。激しい衝動だけではなくて、その後に訪れるどうしようもない沈着すらも、正しく録音して収めている。「うそつき」の、自らの足元にこぼしていくような言葉は、だけど誰かに届けるために存在している。やけに生々しくて具体的なその詞が、「僕は本当のことを話してるのだから、君も本当の姿を見せてよ」と訴えているように聞こえる。それから続くメロディやアルペジオが、きちんと意味を持って届くように。希望が霞み始める前でも、すべてが終わった後でもない、軋み続けるいまだけを刻み込む。それだけが本当だから。

LAMB’S ENDは、2024年に結成された名古屋の4人組バンド。1stミニアルバムである本作はANGM RECORDSとungulatesからの共同リリースであり、すでに彼らは、壊れ始めている。


LAMB’S END『SENTIMENT』

LAMB’S END『SENTIMENT』各サブスク

LAMB’S END『SENTIMENT』歌詞

 
 

この記事の執筆者
サイトウマサヒロ
1995年生まれ、フリーのライター。インタビュー、ライブレポート、コラムなど書きます。