【このリリースがすごい!】iVy「ふたごのライカ / セプタム」 | 大胆かつ繊細な音像で描く、愛と孤独のコントラスト

コラム・特集
2026.8.25
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音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、iVyの2曲入りシングル「ふたごのライカ / セプタム」を紹介。


iVyの「ふたごのライカ / セプタム」が非常に素晴らしかったので、今回のコラムでは本作を紹介したいと思う。

iVyは、2023年にfukiとpupuによって結成されたオルタナティブポップユニット。本作は2026年4月22日にリリースされた作品で、宅録からスタジオレコーディングへと制作環境を広げた点が特徴だ。そのためか、音の作り込みは大胆かつ繊細だ。ドラムに星優太、ベースに田中慧、エンジニアに浦本雅史が参加しており、バンドの生音感が存分に生かされている。一方で、一部の音声やシンセには、引き続き宅録の素材が用いられており、そのバランスも注目すべきポイントになっている。

具体的に楽曲をみていこう。

まず「ふたごのライカ」は、楽曲の展開ごとに表情ががらりと変わる構成が魅力的だ。冒頭は、小さな呼吸、淡いボーカル、反復される擬音を、丁寧に浮かび上がらせるような音色によって楽曲が立ち上がっていく。派手に魅了するというよりは、ロウソクの火のように、ゆったりとした、淡い世界の中で、音の響きに耽溺できるようになっている。

そして、1分40秒を過ぎたあたりで、一気にギターの轟音が炸裂する。ここでバンドアンサンブルが前面に現れ、それまでの曲の表情を一変させるのだ。息遣いさえも聴こえてきそうだった前半に対して、後半のエッジの効いた音使いは興奮を誘う。

歌詞の描き方も面白い。風景を丁寧に描きながら、少しずつ感情を掘り下げていくバランスが印象的だ。さらには、メロディーへの言葉のはめ込み方も気持ちよい。「カンカンカンカン」と小気味よく歌う部分は、そんな見せ方の真骨頂だと感じる。

余白のある描き方と抽象的なイメージの中で、誰かを愛することの意味を考えさせられるような言葉の集積が印象的だ。

対する「セプタム」は、音色からして、「ふたごのライカ」とは作り込みが異なる。民族的な響きを持つパーカッションと細かく瞬く電子音、その上を跳ねていくスマートなボーカル。「ふたごのライカ」がどこまでも身体的な楽曲であるのだとしたら、「セプタム」は機械的で、より洗練された響きを持つ。

後半にかけて歌とドラムとベースのかみ合わせが強くなり、楽曲がぐっと前へ進み始める。エレクトロポップとバンドサウンドを足したようなアンサンブルで、高揚感を高めていく。

歌詞を見てみると、世界への苛立ちや、埋まらない心、内側に宿した大きな衝動を感じさせる。踊れるような音楽でありながらも、孤独を抱えたような言葉の響きが、音と混じり合うことで、さまざまな意味合いを生み出しているように感じる。

オセロの駒の裏表のように、2つの楽曲で聴こえてくるものは異なる。ぜひ2曲をセットで聴いてみてほしい。現在の音楽シーンでいえば、羊文学などの音楽が好きな人なら、きっとハマると思うし、楽曲の世界観の深さを求めるリスナーであれば、その世界観にきっと耽溺できるはずだ。



iVy「ふたごのライカ / セプタム」

iVy
シングル「ふたごのライカ / セプタム」

2026年4月22日配信リリース
音楽ストリーミングサービス各リンク https://linkco.re/cgtfR6qV

 
 

この記事の執筆者
ロッキン・ライフの中の人
ロッキン・ライフという音楽ブログとイベントを運営している中の人です。

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