Jinmenusagiと5Leaf、恵比寿の夜に響かせた異なる個性 TuneCore Japan × BLUE NOTE PLACEコラボイベント『BLUEW』レポート

コラム・特集
2026.9.17
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TuneCore Japanが東京・恵比寿のダイニング・BLUE NOTE PLACEとコラボレーションしたライブイベント『BLUEW』を9月4日に開催した。3回目となる今回はJinmenusagiと5Leafという異なる個性を持ったアーティストがフィーチャーされた。両者は普段パフォーマンスしているクラブやライブハウス、フェスとは異なるシックな雰囲気の中で、ともに強い個性を放つパフォーマンスを繰り広げた。

 
 
5Leaf



オープニングを飾ったのはオーディションで出演権を勝ち取った5Leaf。広島出身の彼女は「ラップスタア 2024」を機に知名度を高め、圧巻の歌唱力とキャッチーなメロディセンスを武器に、定期的な楽曲リリースとライブやツアーを行ってきた。観客がテーブル席について食事やお酒を楽しんでいる中、彼女のバックDJを務めるDJ SHINGOがステージに上がり、重たいトラップビートを響かせる。その後5Leafが現れて、Chaki Zuluプロデュースの「En」をパワフルに歌った。続けざまに「Way of Life」のフックをアカペラで披露する。貧しくハードだった幼少期、音楽に取り組むことで変わってきた彼女のライフストーリーを自己紹介代わりに伝えた。

「こんばんは。広島から来た5Leafです。今日はスペシャルな会場ということで、たくさん曲を持ってきました」としっかりとした口調で挨拶する。3曲目は「Destruction」。“これ以上ないだろ下り坂”というラインに象徴される彼女のさまざまな苦悩が綴られた楽曲だ。薄いブルーのライトに照らされながら曲に詰め込まれた感情をしっかりと届ける。そして「楽しんでますか? もっとぶち上がる曲も持ってきたので、食事しながらだと思うんですけど、手をあげたり、声を出してもらうところもあるので、一緒に最後まで楽しんでもらえたらと思います」とコミュニケーションをとる。「NO RULES」では、ラテンのグルーヴに会場も反応。5Leafのパフォーマンスに合わせて、観客も一緒に歌い、手を上げて、ライブ巧者ぶりを発揮していた。

次の曲は8月にリリースしたばかりの新曲「JIMOTO」。耳に残るメロディだが、内容は悲喜交々。だが彼女の声は力強く、地元ユーモア満載のリリックには、今後彼女の代表曲になっていくポテンシャルが漂っていた。ここからはTomoaki(Gt.)、奥貫圭一朗(Ba.)、伊藤哲平(Dr.)が参加してバンドセットに。5Leafは「みんなそれぞれ悩みを抱えていると思うんだけど、あたしも目の前の現実に押しつぶされそうになったりとか、そんな自分を責めちゃったりとかあるんだけど、やっぱ自分自身に負けたくないというか。目の前にある現実に向き合って生きていきたいと思って(次の曲を)書きました。たくさんもがいているみなさんにも寄り添える曲になったらなと思います」と語ってから「hate me」をプレイする。ヴァースではあまりに過酷な現実が歌われる。だが彼女は“ため息さえもI make it バネ ‘せい’を変換していく‘おかげ’”と前を向く。まっすぐな歌声で観る者の心を鷲掴みにしたのち、開放的な「Highway」で場内を一体にした。さらに初披露となる新曲「乙葉」もプレイ。この曲は5Leafが幼稚園の頃から続く「腐れ縁」の友達に向けて書いたという。その内容は赤裸々で、かつ彼女のストーリーテリング力の高さも感じさせた。なお彼女は現在アルバムを制作中とのこと。

「最後は私が本当に大事にしている曲を歌います。『知ってるよ』って人は一緒に歌ってください」と1stアルバム『Bud』に収録された「bittersweet」を届けた。大きな拍手を声援の中、5Leafとバンドはステージを後にした。










 
 
Jinmenusagi



DJ Ozzyがブースに入って浮遊感のあるビートをプレイしたのち、昨年リリースされたアルバム『ALXVE』の冒頭と飾る「NEET」のビートが鳴る中、ネルシャツを羽織ったJinmenusagiがラップしながらステージに現れた。“俺は東京都のニート”とラップするこの曲は、彼らしい捻くれたナンバー。“食事してるみなさんもニート 恵比寿のニート ガーデンプレイスのニート”と1曲目から観客を巻き込んでいく。タイトなドリル「SAKURABA」を颯爽にスピットして「食事中のみなさん、僕は襟がある服をあまり持っていませんが今日はよろしくお願いいたします」と挨拶した。さらに “どいつもこいつもいけすかんからデカい音で鳴らす”というラインから始まる「ICEY [Remix]」を自己紹介としてアカペラでラップした。

大きな歓声が上がる中でアルバム『DONG JING REN』から「GOAT」を畳み掛ける。「一緒に歌おうとして、食べ物が口から落ちた人がいたね。嬉しかったよ。どうもありがとう」と話して、「Aruku」へ。軽快なビートに的確に乗せていくラップが心地よい。一転して重いビートの「BAKI」へ。Jinmenusagiはステージに座ってラップする。「これはみなさんと目線が近いですね」と客席との距離をさらに縮め、さらに人気曲「Shiawase」も届けた。

「僕にはとても信頼する友達がいるんですが、1人呼んでもよろしいですか?」と語りかけると大きな歓声が起こる。DJ Ozzyがビートを流すと「みんな来てるか?」と煽りながらACE COOLが登場する。かましたのは先日リリースされたACE COOLの最新アルバムに収録されている新曲「Katagi (feat. Jinmenusagi)」。2人の共演に場内の温度が上がる。まったく個性の違う2人がスキルを駆使して、ビートと絡み合ってグルーヴを作っていく様子は壮観だった。

そしてイベントの翌日にMVが公開された2人の共作「冨山と山本」へ。ハイテンポのドラムンベースに高速のラップを的確に乗せていくこの曲に観客は大興奮。Jinmenusagiはステージを降りて、テーブルエリアで自分のヴァースをラップした。フックは大合唱に。そしてACE COOLへマイクをパス。圧倒的なスキルでBLUE NOTE PLACEを盛り上げた。共演曲を終えるとJinmenusagiは「前の人はわかると思うけど、汗びしょびしょでしょ。35なんでね」と汗を拭い「ちゃんとした成人男性はハンカチを持ってないとダメよ」と笑わせた。そこから自身の半生を冷徹に振り返る「うそさ」へ。捻くれた自分の性格を受け止めて歌う“俺らは大人になった”というラインからは、彼の誠実さと強烈な説得力が醸し出されていた。

「ご清聴いただき本当にありがとうございます」と丁寧に挨拶したのち、「僕のライブはあと1曲しかないので、会場のいい雰囲気に溶け込むようないい曲をやって終わりたいと思います」と今を生きていくことをテーマにした「Anata Watashi」を歌った。が、フックを終えたあとに「ちょっと待ってくれ! やっぱりこのまま終わっちゃうのはしんみりしすぎてて、それはBLUE NOTE PLACEに対して申し訳ないし、今じゃないんじゃないかな!」と絶叫して「今じゃない」へ。Jinmenusagiが体験してきた“今じゃない”瞬間をユーモア満載に描写したこの曲は、観客も大合唱。一筋縄で終わりたくない、彼らしいセットリストでライブを締め括った。















 
 
ヴォーカルを中心に構成された5Leafと、ラップを自由自在に使いこなしたJinmenusagi。表現方法やメッセージは全く異なっていたが、パフォーマンスするアーティストと近いBLUE NOTE PLACEの特性もあいまって、2人のキャラクターが強く感じられるイベントだった。なお『BLUEW』ではさまざまなインディペンデントアーティストとともに、これからも特別な時間を作っていく。

 
(photo by Eiji Miyaji)

 
 


「BLUEW」BLUE NOTE PLACE × TuneCore Japan

BLUEW BLUE NOTE PLACE × TuneCore Japan

 
 

この記事の執筆者
宮崎敬太
音楽ライター、1977年神奈川県生まれ。ウェブサイト「音楽ナタリー」「BARKS」「MySpace Japan」での編集/執筆/運営を経て2015年12月よりフリーランスに。2019年に「悪党の詩 D.O自伝」の構成を担当した。また2013年にも巻紗葉名義でのインタビュー集『街のものがたり 新世代ラッパーたちの証言 (ele-king books) 』も発表している。

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