BIG-8 インタビュー グローバルにチャートインも果たす自身のソロ作から、ブランドコラボや劇伴まで、幅広く活動するビートメイカー

インタビュー
2021.4.15
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BIG-8

BIG-8

東京を拠点に活動するビートメイカー。18歳の頃からリリックを書き始め、MCとして音楽を始める傍らでDJ Premierの影響を受けビートメイキングを始める。

2ndアルバム『Mellow SICK』の曲がDONY JOINT(KANDY TOWN)がプロデュースするアクセサリーブランドGOOD ¥ELLAのルックムービーに使用され、同年アディダスのTOKYO CREATOR’S INSPIRATIONという企画でBIG-8が紹介され更に注目を集める。

2019年には5作のアルバムをリリース、自身4作目のアルバム『Love One Self』が日本のiTunes Storeインストゥルメンタルトップアルバム3位にチャートイン。また自身6作目のアルバム『Blue SICK』はブルガリア、キルギスのApple Musicインストゥルメンタルトップアルバム1位にチャートイン。

2020年では6作のアルバムをリリースする中で、乃木坂46主演のドラマ『サムのこと』の劇伴BGMを担当し、活動の幅を大きく広げている。

IYOW : A series of interviews with featured beat makers / producers / composers


——キャリアスタートのきっかけ

小学生や中学生の頃はみんなが聴くようなJ-POPを聴いてて、その頃はヒップホップを知らなかったわけじゃないんですけど、あまり聴いてなかったんです。高校に入ってからテレビでKREVAが出ていたのを聴いた瞬間に“なんだこれは!?”って感じだったんですよ。今、思うとそれが僕のヒップホップの始まりだったかもしれないですね。

そこから大学に入ってNASやJAY-Z、KANYEとか、まったく何を言ってるか分かんないけど聴いてたんです。でもそれぐらい、いつのまにかヒップホップに惹かれてて、その頃は自分でリリックとか書いちゃったりして(笑)。でも、それは今考えると全然本気でやってなくて、遊び程度でしたね。


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——ターニングポイント

本当に自己満足で趣味的に楽しんでいた時、さらに衝撃を受けたのが、動画サイトで見たDJ Premierで、何か叩いてたんですよね。叩いて音が出る機械を。今は、それがサンプラーだってわかるんですけど、叩いて音が出る機械って、それに凄く衝撃を受けてMPCを購入して。

最初は4人組クルーでラップしてたんですけど22歳でクルー解散して、それでもラップを続けたかった。そのとき誰もビートを提供してもらえなかったから自分でビートを作るようになりました。ただ、本気でラップをやってる途中で思ったことがあって、僕は海外の人にも聴いてもらいたかったんですけど、まず日本語が分からないよなって。そこから自然と徐々にビートに力を入れ始めてました。ラップも落ち着いたらやりたいですけどね。


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——最新作

『Lost Home』というビートテープを近日公開する予定です。

 
——キャリア当初の制作環境

ビート作り始めた頃は6畳一間のマンションに住んでて、その時からすでにMPC STUDIOを使ってました。制作したビートをLogicに流してFOSTEXというメーカーのモニタースピーカーでミックスやマスタリングをして。

その時はラップもやっていたので、確かRolandのインターフェースとAudio Technicaにコンデンサーマイクを使ってました。

 
——現在の制作環境

以前は都内のほうの集合住宅に住んで制作してましたが、毎日音を出してたので案の定強制退去になり、今は田舎のほうでスタジオを1から自分の手で作って制作しています。前の家では出せない音量を今では毎日出せて快適です。


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——メインの機材

PCはMacBook Proの5-inch 2014年モデルです。メイン機材は、サンプラーがAKAIのMPC STUDIO、インターフェースがUNIVERSAL AUDIOのApollo Twin、MIDIキーボードKORGのmicroKEY。たまにAKAIのMPC1000も使ってます。ライブではRolandのSP404SX、SP404SXのケースはANALOG CASESを使ってます。


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DAWはMPC softwareをMPC STUDIOで操作して使ってます。MPCでビートが組めたらLogicにステムを流して足りないところを補ったりミックス、マスタリングしたりという感じです。


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——モニター環境

モニタースピーカーがJBLのLSR308で、モニターヘッドホンが、SONYのMDR-CD900ST。以前はSHUREのモニターイヤホン425を使っていたのですが壊れてしまって使ってませんが、このイヤホンはすごく良かったです。モニタースピーカーに関してはYAMAHAのHS7を導入予定です。普段聴きは有線のiPhoneイヤホンとSHUREの215を使い分けてます。


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——使用音源

Logicのalchemyだけです。

 
——使用プラグイン

Fab FilterというオランダのメーカーのプラングインとLogic内のものが主です。特にFab FilterのPro-Q3というEQはよく使います。これはかなりおすすめです。

 
——ビートメイクのプロセス

できるだけドラムはレコードから抽出したりMPC1000から持ってきたり、生音を録音したりしてます。スネア、キックは特にそうしてますね。加工済みのサンプルパックとか一時期いろいろ購入したんですけど、しっくりこなかったり、逆にハマりすぎて変に感じたりしてしまって。今の状況でもそれはもちろんあるんですけど、加工済みよりも遥かに加工がしやすいのでそこが自分にとっては大きいですね。


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——ビートメイクポリシー

楽曲制作するにあたっては、その時の自分のメンタルに左右されるので上ネタにしたいと思った曲を予めメモしてあって、そこから今その時の自分のメンタルにあったネタを選定してます。自分がハイな時にゆったりとした曲(いわゆるLo-Fi系)を作っても気分落ちちゃうので。これで何度も失敗してて、自分にとってはこのネタ帳を作っておくことが1番大事なプロセスですね。


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——最も影響を受けたプロデューサー/ビートメイカー

Kanye Westです。SOULネタを早回しでサンプリングしたビートが好きで、たぶんカニエがヒップホップの歴史的に最初に上手くやった人なので。あとカニエは色んなことに挑戦するところも好きですね。

 
——影響を受けた楽曲

DJ Premier – Classic
この曲のMVを見てサンプラーに魅了されてMPCを買ったので。あとプリモのビートはいつも自分の色があって永遠に聴けるところも好きです。

 
 
Kanye West – Through The Wire
他にもカニエのSOULネタ早回し系サンプリングは好きな曲あるんですが、この曲を知ったときはずっと聴いてて思い出です。

 
 
J DillaやNujabesにも影響を受けてて、ビートのみで勝負するのがかっこいいと思います。J DillaはThe Lightのビートが好きです。ビート単体で聴きます。NujabesはLov sicとPerfect Circleが好きですね。こちらもビート単体で聴きます。

 
——自分の作品を振り返って

正直言うと全部納得してないです。その時納得しても次の日には違うと感じてしまったり、ただそうこうしているうちに全くリリースできない時が何度もあって。もっとよくできるって何度も思ってしまうんです。多分今後も悩み続けるんだと思います。でも以前「楽曲に思い入れを持つのではなくて、ステップアップする自分に愛を持て」という内容の2Pacの記事をネットで見つけて、それに心打たれて気が楽になりました。

 
——最後に一言

海外に住んで、いつかKanye WestやJ Cole、Drakeといったラッパーと曲を作りたいです。あと、アニメーションに僕の作ってる楽曲を載せた作品とかもできたらいいなと夢見てます。



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