【このリリースがすごい!】詩組み「短夜」 | 引き締まった音楽世界と奥底に残る余韻
音楽ファンは要チェック、注目のリリースをレビューする特集企画『このリリースがすごい!』。今回は、詩組みのシングル「短夜」を紹介。
ポストロックやエモ、叙情系サウンドをルーツに持つ詩組み。「短夜」という楽曲では、そうしたルーツを感じさせるサウンドや楽曲構成が存分に活かされていると聴いていて感じたので、その感想を書いてみたい。
まず、この楽曲は鋭いドラムロールから始まる。
打音に揺れる空気まで収音されているような、生々しい響きの中で、ゆったりと音の世界を構築していく。やがて加わるベースとギターも洗練されている。ベースは楽曲の重厚感を膨らませていくし、冷ややかなクリーントーンのギターは小気味良くストロークを繰り返し、その響きがぐっとくるのだ。そんな独特の緊張感が宿るイントロが約45秒にわたって展開された後、凛としたボーカルが合流する。
その流れが良い。
まるで「短夜」という言葉が示すような、引き締まった音楽世界が展開される。サウンドそのものには余分なものはないのに、歌の奥底にはずっと余韻が残るような不思議な感覚があるというか。
「短夜」って不思議な楽曲だ。これまで聴いたことのないような斬新なアイデアで、強く印象づけるタイプの歌ではない。でも、聴けば聴くほどに心に残るような求心力があるのだ。歌を包むサウンドにも十分な尺を使うからこそ、独特の空気感が生まれている。その中でも、確かな憂いを帯びながら胸に突き刺さるボーカルの存在感が絶妙なのだ。
なかでも、2分20秒あたりからの間奏がこの曲の真骨頂という印象がある。
スライドするようなギターの音と、躍動するベースとドラムがアグレッシブな空間を作り上げる。3分ちょうどのタイミングでは、ドラムのカウントに合わせてリズムを変え、全パートが一度モードを切り替える。さらに、3分30秒ではもう一度ビートを変えてみせる。
一度、すべてのパートが演奏を終えたかのような間合いを作り、まるで違う楽曲が始まるような雰囲気を生み出したかと思うと、轟音のギターが間髪入れずに炸裂するだ。「短夜」の第2幕が始まったかのような展開。そして、4分16秒で再びボーカルが合流し、ここまでの展開がそれまでの歌と地続きであることを再確認させる構成になっている。
この後半には「短夜」だからこその魅力が存分に表れている。そして、楽曲が終わる頃には5分20秒ほどが経っているわけだが、良い意味でその長さを感じさせない楽曲になっているのだ。
歌とサウンドのバランスが絶妙で、楽曲の展開も巧み。だからこそ、短いEPを一枚聴き終えたような充足感が残る次第。

詩組み
シングル「短夜」
2026年7月13日配信リリース
音楽ストリーミングサービス各リンク https://linkco.re/C3fvDDXF